比較しようのない見積を4〜5件いただいたらどうするか?

すごく面白い記事がありましたので、乗っかってみます。

WordPressサイトを構築するといくらかかる? 見積り勉強会で価格を出してみた | WordBench

 

右も左もわからずとりあえずWEB制作会社に見積依頼したら、大抵こんなことになりますよね。比較すらできません。

ってことで見積もらった側として、各社の見積に3〜4倍ほど開きがあったらどうする?ってことを書いて行きます。

 

 10企業の選定作業は労力的に絶望なので、適当にピックアップした4社くらいをターゲットにします。

ターゲットは「Ago-HIGE」様、「ガールフレンド」様、「チーム子連れ」様、「ドしろうと」様。あ、折角なので一番高価だった「ちこく」様も入れましょう。

 

まずざっくりとした比較表の作成にとりかかります。

エクセルかなんかに転載して、同一っぽい作業がまとまるように明細を並び替えます。スクショは途中経過です。

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これなんだろう?とか考えながら数十分格闘すると、ホイ。なんとなく費目がそろってきます。

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そろえた費目で(あ、イラスト作成はマニュアルじゃないわ・・・)小計を出します。これが最初のたたき台となります。

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これで比較のためのとっかかりができました。当然ここには発注側の勝手な思い込みが含まれていますので、これを以降の作業で解消していくことになります。

 

ちなみに今回、勉強会向けにRFPを作成されとりますが、RFPを作る意義には「同じ条件で見積もってもらうため」ってのがあります。具体的に言うと時間軸における要件のブレを押さえるためです。

RFPを作らないと、あっちの制作会社には伝えたけど、こっちの制作会社には言い忘れた、とかそういうことが起こります。そうなると当然ですが、もらった見積を比較する事はできなくなります。RFPという資料にしてしまえばそういう齟齬を防ぎやすくなります。

それと同様に、制作会社の定義する「費目」のブレを修正する作業が必要になります。

なお、ここからは対人作業となります。

 

とりあずディレクション。以下、「依頼事項」とした事柄は、すべてを取りまとめた上で後で全制作会社にばらまきます。

ガールフレンド様、チーム子連れ様、ドしろうと様に対してディレクションの作業内容と「成果物や作業内容」について訪ねます。ガールフレンド様5万円に対してチーム子連れ様は10万ですが、これはチーム子連れ様のディレクションには含まれているが、ガールフレンド様の進行には含まれていない作業があると考えます。

そうすると、たとえばチーム子連れ様のディレクションには週2のミーティングが含まれているがガールフレンド様には含まれてない、とか、そんな感じのことが明らかになります。

もしそれが必要と思えば、他の制作会社にも「もし週2でミーティングやった場合のディレクション費」の見積を依頼事項とします。

必要ないと思えばチーム子連れ様に対して「ミーティングなしの場合のディレクション費」の見積を依頼事項とします。

質疑応答によってディレクション作業の内容が明らかになったら、Ago-HIGE様とちこく様に「ディレクション」を必要なしとした理由を質問します。

大抵は他の項目に按分して含まれているという回答になると思いますので、その場合は「あえてディレクション費用を外だし」にした場合の見積を依頼事項とします。他の費目の単価が下がり、ディレクション費用が明確になります。

もしくは「ディレクションはお客様にて実施願います」という回答も予想されます。その場合は「ディレクションをお願いしたらいくら?」という見積依頼事項になります。

当然、質問事項や回答事項はまとめて一つの資料にします。

こうすることで、ディレクションに対する認識のずれ(制作会社と発注者だけでなく、制作会社間の認識のずれも含む)を修正する事ができ、ディレクション費用を比較できるようになります。

 

というか、以降の費目も同じように進めます。

費目に対して作業内容と成果物を質問し、制作会社間でズレがあればズレの内容を明示してもらうことの繰り返しです。

例えば他制作会社では分割して計上してるのに単一費目に混入させている作業があれば、分割してそれぞれ費用を明記してもらったり。(合算は発注側でできます)

高い方に作業内容を聞いて、低い方に「なぜこの作業は必要ないと判断したのか?」を確認して「あ〜 やったほうがいいっすか?やりましょか?」って感じなら追加見積依頼事項。

「そんなの必要ありませんよ」って言われて、そのほうが納得できるんであれば、高いほうには「それを抜き」にして見積してもらいます。

この作業は結構有用でして、作業内容や成果物に対する認識ズレだけでなく、お互いの責任範囲についての認識ズレも修正することができます。 (プロジェクト終盤での「それってお客さんの作業っスよw」の防止です)

 

てことで4社もいればこのやり取りして見積依頼事項をまとめるだけで2週間位は余裕でかかります。

が、そこから「2回目の見積」をしてもらいます。

ここ注意!質疑応答中に電話口で金額を聞かない事!必ず資料にして渡し、資料で回答してもらう事。これ徹底しましょうね。

 

 

大抵、ここまでやれば低かった見積もどんどん抜けていた作業や成果物が追加され、結果として金額が加算されていきます。安い理由や、安くあげるための「条件」なんてのも出てきたりします。

高かった見積は、費目内の「オプション事項」がどんどん外出しにされていきます。安い制作会社の「安さの条件」を持ってきたら同じような金額になったりもします。

当然、制作会社として「見積不能」な項目も出てきますが、それはそれでそう明記してもらえばオーケーです。選定の材料として考慮できます。

 

おつかれさまでした。ここまでやりとりをした上でいただいた「見積」こそが、本当に選定の対象として利用できる見積となります。 

 

当然、ここに書ききれていないことはたくさんあります(たとえば、最初からExcelで見積もらってれば楽とか)が、ざっくりとした流れに多くの方が賛同していただければ、私も今後の仕事がやりやすくてなによりです。

 

あーつかれた。